ペットの資格はどう選べばよい?ペット業界で働きたい人向け

「ペットの仕事に資格は必要?」

「資格の種類が多過ぎて選び方がわからない」

「役に立つ資格なのか心配」

ペットが好きで、将来ペット業界で仕事をしてみたい。

役に立つスキルを学びたいと考えている方は多いと思います。

  • ペットの資格は大まかに4つに大別 医療、サービス、トレーナー、サポート
  • 資格の選択 = 自分の未来像
  • ペット業界のリアル【経験談】
ペットショップ・動物看護師・ペット保険・ペット霊園の経歴あり
ペット業界20年になります

実はペットの資格はあってもなくても仕事につけます。

手っ取り早いのは、就職して実践を積み重ねることです。

資格にこだわる必要はなく、場合によっては職場の門を先に叩いてしまうのもありかもしれません。

しかし就職するにあたって、その分野の基礎的な知識や技能、考え方などを学ぶことは大切ですし、自分がやりたい仕事の方向性の確認手段としても有用だと思います。

ペットの資格は大まかに4つに大別【医療・サービス・トレーナー・サポート】

まず始めに、ペットに関する資格の大枠をみていきます。

資格がたくさんある中で、どのように探していけばいいのかの道筋をお伝えします。

似たような名称の資格が多く存在する理由

ペットの資格について調べると、かなり種類が多く混乱しすよね?

その理由は資格のほとんどが民間資格のため、さまざま団体が各々の名称で資格を作っているためです。

ですからどんな資格があるのかを調べる前に、どんな職種があるのかを調べましょう。

ペットを扱う職種やサービス

ペットの職業をおおまかに分類すると以下の4つに大別できると思います。

医療

ペットの命を守り、人とペットのより良い社会をつくる仕事です。

医療の仕事=動物病院なので、資格は「獣医師」と「愛玩動物看護師」の2択です。

これ以外の資格は、あくまで自分のスキルアップのために学ぶことになるため、とりあえず必要ないでしょう。

ちなみに看護師は令和4年より国家資格となるため、どうぶつ病院で看護師と呼ばれるのは、この資格を有した者だけとなります。

看護士とつくような資格は他にもありますが、今後そのような資格はなくなっていくと思われます。

現在は獣医師と看護師というのが動物病院の基本構成ですが、人と同様に医療事務的な存在も出てくるかもしれません。

サービス

ここでいうサービスとは、ペットを介して飼い主さんに価値を提供する仕事を指します。

直接ペットと触れ合う仕事のため、広い知識や専門スキルが必要となってきます。

飼育管理、栄養学、看護学、公衆衛生学など学ぶべきものは多くあります。

私のおすすめとしては、まずは独学で参考書などを読み漁り、職場で実践しながら経験とスキルをアップさせて、必要とあれば資格をとるのが良いと思います。

なぜなら私の経験上、資格は採用する側からするとそんなに重要視されないからです。

数多くあるペット資格のうち知名度の高いものであれば別ですが、そうでなければ資格の内容がどんなものなのか把握している採用側の人は少ないでしょう。

けれど、トリマーは別です。

資格が重要という話ではなく、トリマーとしてのスキルを独学で学ぶには無理があります。

そのため専門学校やスクールなどに通い、技術と知識を体系的に学ぶ必要がでてくるでしょう。

トレーナー

しつけといった一般家庭向けのものから、警察犬訓練士や盲導犬訓練士など社会に貢献する仕事がありますが、ここではペットを対象としてお話していますので、ドッグトレーナーについて説明します。

しつけ教室や講演といったドッグトレーナーとしての活躍の場を広げるのであれば、現在有名なトレーナーのカリキュラムを受講するのが良いでしょう。

もしくは、養成所やスクールといった場で集中的に学ぶ方法もあります。

いずれにしても仕事としてやっていくには、師匠となる人を探しそこで働きながら勉強し、いずれ独立といった流れが必要でしょう。

トレーニング方法は昔と現在ではだいぶ変わってきています。

新しい考えを取り入れ、信頼度の高いトレーナーから学ばないと、世界から見て時代遅れのトレーナーとなってしまうかもしれません。

犬という生き物がどのように考え行動するのかを徹底的に学び、かつ信頼関係を築くのは容易ではありません。

あくまで資格はこれらを学んだ結果付いてくるものであって、自分がなりたいトレーナーが何かを見極める必要があります。

仕事として生活を成り立たせるのは、かなり難しいものだと覚悟しておくべきです。

サポート

人とペットが暮らす日常生活に、快適と安心と楽しさを提供する仕事です。

仕事としてはフードやグッズ、書籍、保険、イベントなど多岐に渡ります。

ただ今までみてきた仕事と違うのは、ペットと直接触れ合う仕事ではないという部分です。

間接的にペットに貢献することになるので、一見するとペットに関わっている実感がないかもしれません。

ただ、ペットの仕事の中で一番間口が広い業界でもあります。

ペットの仕事に就き、しっかりお金も稼ぎたいというのであればここかもしれません。

資格に関しては、就職してから自分のスキルアップのために取得するのがいいでしょう。


まずは職種を絞りことに専念しましょう。

ペットの資格は、関連性の高い知識を幅広く身に付けるための補助的なものと考えたほうがいいです。

資格の選択 = 自分の未来像

資格を考えるのに職種を絞るのはいいけど、興味ある分野って理由だけで選んでいいのか?

答えはNOです。

資格の選択には、興味+目的が必要です。

ダイエットを例に、ダイエット方法を興味ある分野と考えてみてください。

運動?マラソン、ヨガ、ボクササイズ、スイミング…
食事?バナナダイエット、炭水化物抜き、プチ断食…

「やってみたけど、結局失敗しました」よく聞きませんか?

失敗の原因は、痩せてどうしたいか?の目的が抜けているからです。

ただ単に痩せたい!痩せればいいことがあるに違いない!のような、目的がない興味本位のダイエットがマズイんです。

ダイエットしてあの子に告白する、ある人を驚かせたい、成功体験を発信して悩んでいる人を勇気づけたい、、、

理由、目的が具体的であるほど継続と結果が生まれます。

興味だけでなく、しっかり理由、目的を持つことによって未来の自分がどのようになるのか想像するようにしましょう。

せっかく資格取得を考えているなら、理想とする新しい自分に出会いたいはずです。

ちなみに、私が動物看護師の資格を取ろうとした目的は、もちろん動物病院で働くこと。

初めて動物病院を訪れた時、獣医師と看護師のプロとして働く姿、対応に安堵したことを今でも覚えています。

それがキッカケとなり知識と技術を得て獣医療に携わりたいと思い専門学校に通うことにしました。

働くまでのスケールでなくとも、やはり目的が明確でないとその資格が活かせません。

興味だけでなく、なぜ興味を持ったのか?なにかしら興味を持った理由があるはずです。

楽しそうだから、収入がよさそうだからでもいいですが、さらにその資格を活かして自分がどうなるか想像してください。

ペット業界のリアル【経験談】

これより下は、私の経験から得たペット業界のリアルをお伝えします。

まずはじめに重要なことは

中途半端な覚悟でペット業界にきてはいけない

ですw

なかなかに厳しい業界なので、本音で語ります…

継続する覚悟

まず、ペット産業の市場規模ですが1.6兆円(2019年度)。

同規模にはホテル・旅館業や航空機産業などがあり、なかなかの市場規模です。

さらに今後も伸びると予想されていて、活況ある業界であると言えます。

しかし、殺処分や悪質ブリーダーによる繁殖、飼育放棄、多頭飼育崩壊などの飼い主のモラルの問題、ペットショップのあり方など、世間からの厳しい目もあります。

また、労働環境・収入面においては厳しい世界だと言わざる得ません。

それでもペットの魅力を伝えたい、力になりたい、守りたい、変えたいと考えている方は「覚悟」をもって飛び込んほうがいいと思います。

ここでいう覚悟とは「続けていく覚悟」です。

私が動物看護師として働くために、専門学校で習ったことは基礎中の基礎。

例えるなら、英単語のスペルとその意味を知ったくらいのもんです。

その単語を前置詞や接続詞を使って文法に従い並べて、未来形や過去形に変化させ、実際に人と会話する…このように覚えることは山程あります。

にもかかわらず、専門学校を卒業して病院に入れば安泰だー!なんて私は思っていました。

真にペット業界で生きていく人は、資格をとった人ではありません。

資格をとって仕事に就いた人でもありません。

実践を積み、コツコツ努力を続けた人です。

ペットの命を扱う業界で働く人間には、信頼が最も重要です。

特殊なスキルやビジネス力がものをいう世界とはちょっと違います。

継続と信頼無くして、ペット業界はありえません。

 

過信は禁物

そしてもうひとつ大切なこと、「自分の覚悟を過信しない」です。

自分の覚悟は簡単に揺らぎます

ペットの仕事は、ペットと楽しくワイワイしながら収入を得るものではありません。

ペットに真剣に向き合い、ペットと飼い主に必要とされる価値を提供し、さらには人間社会におけるペットのあり方を発信する仕事です。

ペット業界に限った話じゃありませんが、理想と現実の違いはすぐにその人を失望させます。

そして、仕事を辞めその業界から去っていきます。

それ自体は悪いことでも何でもありませんが、長くペット業界にいる者としては去っていく人を見るのはやはり悲しいです。

当時勤務していたどうぶつ病院でも、多くの獣医師や看護師が入社しては辞めていきました。

先輩や上司が、仕事の魅力や楽しさを伝えられなかったからだと言われたりしますが、それは違います。

魅力や楽しさを感じる部分は人それぞれだし、自分でそれらを見つけ出し極めていくのが仕事の醍醐味だと思うからです。

ですから、資格をとってペット業界に入ろうとしている人には、自身のペット愛を過信せずにビジネスとしての冷静な目も持ってください。

まとめ
資格の選択は職種を決めるところから始める
資格を取得する理由と目的を明確にする
資格は働く中で補助的な役割。資格を取ることが目的ではない。
ペット業界で必要なものは、「継続」と「信頼」