「治療費が高額ってホント?」
はじめての動物病院には何かと不安が付きまといますよね。
その不安要素の一つが「お金」という方は意外に多いものです。
動物病院の料金は高い。そんなことを聞いたことがある人は結構多いんじゃないでしょうか?
もし動物病院の料金にモヤっとしたものがあるのなら、まずは動物病院の料金設定の背景について知ることが大切です。
それと同時にペットの治療にいくらくらいまでなら出せるのかを決めておくことも大切です。
動物病院への不安や疑問は減らすことができます。
ペットの飼い主であればいずれ動物病院にお世話になりますから、今のうちに『動物病院の料金』について知っておきましょう。
動物病院に料金表がないのはなぜ?
動物病院には料金表はありません。人の病院と同じです。(人の場合診療報酬があるため料金表がないというのは語弊があるかもしれません)
わたしたちが普段利用している病院での診療費については相場勘があるため「だいたいこんなものだよね」で済むと思います。
対して高級なお寿司屋さん、お寺さんにつけてもらう戒名などについては多くの方は相場勘がないため、予想外の金額に驚くこともあるでしょう。
そんなときに「料金表があると助かるんだけどなぁ」と思う人は少なからずいるはずです。
ちなみにですが、動物病院で料金表を出してはいけないなんて規定はありません。
それでも出さない理由は何でしょう。
・医療業界の慣習的なもの
・料金表を出しても患者が診療費を計算、予測するのは困難
・料金だけで病院の選択をする飼い主がいるかもしれない
つまり料金表を出したとしてもほぼメリットがない、むしろデメリットさえありそうです。
とはいえ動物病院に料金表がないわけではありません。当然ですが院内では処置料や薬、手術費用などの料金設定がされています。
ワクチンや避妊去勢手術の費用などをホームページに掲載している動物病院もそれなりに見かけますよね。
動物病院は高いのか?
この記事では動物病院のお金にまつわる数字を、『公益社団法人日本獣医師会』が公開している家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査結果(令和3年度)を参考にしています。
令和5年現在、全国の動物病院は約1万2000件です。
この参考データは全国動物病院のうちの1096件の回答になりますので、データの信頼度としては十分といえるでしょう。
人の場合の診療費と比較して高い?
そもそも「動物病院は高い!」「ウン十万かかった!」などと言われるのはどうしてでしょうか?
これはちょっと高いんじゃない?と思う投稿を実際にSNSで見かけることもありますが、基本的に獣医療が高いわけではありません。
わたしたちが風邪をひいた場合や手足が痒いなどの理由で病院に通った場合、軽い症状のものなら2,3千円くらいでしょうか。
これに対し犬や猫に比較的多くある下痢や皮膚の痒みなどで動物病院に行った場合は6,7千円くらいはかかります。
実費としてはペットの方が高いのですが、わたしたちは公的医療保険制度によって負担が軽くなっています。
もしもわたしたちの医療費が全額自己負担であれば「高い!」と感じるでしょう。
そう考えると、動物病院がとりわけ高いわけではないことを理解できると思います。
動物病院は自由診療。自由診療は高いだけじゃない
自由診療とは保険が適用されない診療のことで、料金はその病院が独自に決めます。
その代表的なものが美容整形やインプラント。あれ高くないですか?私は高いと思います(笑)
そう保険の効かない自由診療だから。
これと同じで動物病院も自由診療です。
自由診療の特徴は保険非適用、そして医療サービスを受けるかどうかは患者の自由であるところです。
また自由であるがゆえに、インフォームドコンセントが大切です。
動物病院においては医療サービスを受けるのはペットであるのに対し、それを決定するのは飼い主であるため飼い主にしっかり理解してもらう必要があるためです。
このインフォームドコンセントによって治療方針を決め、さらにはその治療を受けるかどうかを飼い主が選択するのです。
自由診療である動物病院はインフォームドコンセント如何によって、獣医師と飼い主の間に信頼関係が築かれます。
受けるも自由、受けぬも自由。受け身になりがちな医療サービスですが、自由診療では治療に参加する姿勢の大切さを教えてくれます。
動物病院ごとに違う料金の差
獣医療は人医療と違い公的医療制度がないために実費が高くなるのは仕方なし、といった話をしましたが、その他にも「高い」というイメージを植え付けるものがあります。
病院ごとの料金の差です。
同じような治療をして「あの病院は○○円だったけど、この病院は……」といったような料金比べをSNSなどで見かけます。
これはボッタクリではなく、その病院ごとの特徴なんです。
・地域ごとの相場がある
・最新設備の整った病院では診療費に反映されることもある
・質の良い医療サービスを提供するため多くのスタッフを抱えている
などなど、病院それぞれの事情背景がありそれに見合った料金設定があるのです。
獣医療が「高い」といったイメージは、こういった料金格差の高いケースだけを切り取ったせいで勘違いされているケースもあります。
相場を知りたい
病気やケガの場合料金を知るのは難しいけれど、予防関連ならば相場はわかります。
予防は健康な子であればやることが一緒だからです。
ワクチン
6,000円~8,000円
予防できる病気の数によってワクチンが何種類かあり、料金が違います
体重によって違うわけではありません
避妊去勢
猫去勢(オス)12,000円~17,000円
猫避妊(メス)20,000円~28,000円
犬去勢(オス)17,000円~22,000円
犬避妊(メス)27,000円~35,000円
メスの避妊手術の方が高いです。
犬の場合、体重によって料金が変わる病院がほとんどです。
これは「手術のみ」の費用で、基本的に術前検査(8,000円~20,000円)が別途必要です。
年齢などにより検査する項目が異なるなため費用に幅があります。
健康診断(1日ドック)
17,000円~30,000円
大きさ、年齢、検査項目の追加などによって変わります。
フィラリア(検査と薬)
検査1,500円~2,500円
薬1,000円~2,000円/月
フィラリア薬をもらうには検査が必要です。
月に1回の薬が必要になります。
体重によって薬の量がかわります。
ノミダニ予防
1,000円~2,000円/月
体重によって値段が変わります。
月に1回の薬が必要です。
ペット保険はあるけど、必須ではない理由
日本ではすべての国民が保険に加入しているため、だれでも一定水準の医療を受けることができますが、ペットにも保険はあります。
ただ任意保険であるため、令和5年時点ではのペット保険加入率は1割強と言われています。
加入率が低い理由には認知されていないという点と、必要ないとされる意見があります。
必要ないという意見は、ペット保険料を支払うくらいならそのぶんを貯蓄にまわすといったものです。
手術や入院となれば10万、20万円くらいは必要になりますが「大丈夫!しっかり貯蓄で対応できます!」という方であればペット保険は必要ないといえます。
10万、20万円がすっと出せないのであれば検討する、くらいの考え方でよいと思います。
動物病院の診療費はケースバイケース。結局わからないけど大丈夫です。
ペットが病気やケガをした場合、結局のところどのくらいの支払いが必要になるのかわかりません。
でも大丈夫です。
いきなり2、3万円請求されることはまれです。
検査などをするとなれば2、3万円は必要ですが、通常、検査や入院となれば費用がどのくらいかかるのか教えてくれます。
動物病院としても高額な費用だとわかっているので、飼い主が払えるかどうかを確認しなくてはならないからです。
とはいえ、診察治療とお薬代くらいの1万円前後は最低必要になります。
まずは診察をしてもらい、ペットがどんな状態でどんな治療が必要なのか、さらにどのくらいのお金が必要になるのか聞いたうえで決めればいいのです。
まとめ
動物病院の料金は決して安いものではありませんが、特別高額というわけではありません。
まずは診察してもらい、どのような治療の選択肢があるのかをしっかり聞いて話し合ってみましょう。
お金が心配なのは当然ですが、できることは何かしらありますので、症状が悪化する前に「まずは診察」です!